日本の国蝶オオムラサキの中に、稀にモルフォチョウ(南米)のような輝きを持ったオスが見つかることがあり、これを仮にモルフォオオムラサキと呼んでいます。色合いが紺色系ではなくて水色系で一目で別種の蝶に見えます。最近では昆虫の事で驚いたのはこのオオムラサキの写真を見た時でした。
実物の標本が見たくなり、蝶マニアの友人から借りて来て写真を撮りましたが採光の取り方でうまく撮れませんでした。
この蝶の色合いは遺伝型の劣勢遺伝なので出現率は大変低く、野外ではほとんど100%見ることは出来ません。私もオオムラサキは数多く見ていますが全く知りませんでした。
昨年写真をみて、これほど有名で全国に数多く生息している蝶で、まだ知られていなかった遺伝型が発見された事に大変驚きました。遺伝型と言うと聞きなれないと思いますが、他の動植物と同じで
昆虫にもみつかっています。蝶では同じタテハチョウ科のコムラサキでよく知られています。
現在出回っている標本は、野外で見つかった個体(滋賀県)から卵を産ませ、累代飼育によって劣勢遺伝の遺伝型を固定した個体から増やされたものです。
今まで各地で見つかっていますが、どこも分布の端(北海道)や個体数の少ない生息地です。
これは生息数が少ない為、遺伝的に血が濃くなり(近親交配)が進み、劣勢遺伝子が出現すると思われます。
山梨などの大発生地では、これまで全く見つかっていません。
同じような遺伝型でクロコムラサキが知られています。愛知県では、クロコムラサキの出現率が高かったのですが
最近、名古屋市内にも良く見られるようになり個体数が増え、それに伴いクロコムラサキがほとんど見られなくなって来ています。