植物の楽しみ
Vol.1 カンアオイ(ウマノスズクサ科 ) Asarum nipponicum    吉田 篤

 山地の林床に生える常緑多年草。おなじ仲間に落葉するサイシンの仲間があります。東北から沖縄まで分布しています。地域変異が多くコレクションの対象になっています。古典園芸植物(江戸時代にブームになった植物)では、「細辛」(さいしん)と呼ばれています。

 徳川家の葵の紋は、カンアオイではなく、フタバアオイといわれています。同じように、フタバアオイを紋章としているのは、葵祭りの賀茂神社が知られています。葵祭りでは、フタバアオイが神事に用いる霊草であるため、この植物を神聖視し神紋としています。

 葵の紋が武家などの家紋となったのは、戦国時代前期頃(1490年頃)から三河の松平・本多・伊奈・島田氏らが用いていました。家康が征夷大将軍となってから、権威ある紋として一般の使用を禁止し、一門親藩だけに使用を許しました。


ヒメカンアオイ(愛知県)

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